こんばんは。木場公園クリニックの吉田淳です。
しばらく書き込みが出来なくてすみませんでした。
6月から8月にかけて多くの講演(6月3日JISARTシンポジウム:医師教育、6月14日セローノ座談会:男性不妊症の治療、6月30日オルガノン座談会:rFSHとアンタゴニスト、7月6日アンドロロジー学会・IVF学会シンポジウム:ICSIのgenetics、8月18日京都大学主催公開セミナー:生殖医療専門クリニックにおける遺伝カウンセラーの役割と遺伝カウンセリングの現状、8月19日不妊治療2007年セミナー:ARTの卵巣刺激法とその選択、8月30日受精着床学会:男性不妊治療・無精子症2007クラインフェルター症候群の治療と非閉塞性無精子症における精巣精子凍結、8月30日受精着床学会:ランチョンセミナー:IMSIの実際)で忙しい毎日を過ごしていました。また、9月22日には新宿で行われるアジアオセアニア産科婦人科学会でIMSIとSEETについての話をする予定です。
その中でやはり今日はIMSIについての話をします。
前もブログに書かせていただいたように木場公園クリニックではIMSI(通常のICSIでは、400倍から600倍で精子を選んで顕微授精を行いますが、6000倍から12000倍の高倍率で精子を選んで顕微授精を行う方法のことをintracytoplasmic morphologically selected sperm injection:IMSIと言います。400倍で観察した時は正常と判断した精子を、約6000倍から12000倍に拡大してみると精子の頭の部分に空胞(抜けている部分)を認めることがあります)のシステムを導入して約半年が経ちました。
先日行った受精着床学会のIMSIのランチョンセミナーが満員になり立ち見の方が多数出たことからわかるようにIMSIのシステムに対する関心の高さがよくわかります。
今年の3月にIMSI systemを導入してから、木場公園クリニックでは3月45件、4月44件、5月79件、6月62件、7月102件のIMSIを行いました。
IMSIの適応となるのは、何回か顕微授精を行っても妊娠しない方、また顕微授精が初めてであっても精子の頭部の質の悪い(SCSA検査でDNA fragmentation index(DFI値)の高い方:SCSA検査については木場公園クリニックのホームページに説明が書いています)です。
射出精子、膀胱内精子、精管精子、精巣上体精子、精巣精子どこの精子でもIMSIは可能ですが、高度乏精子症や非閉塞性無精子症で、本当にわずかしか精子が採れない場合には選べるほど精子がいないため、IMSIの適応外となります。
以前ブログでIMSIの問題点(通常のICSIでは、精子を選んだ後、精子の動きを止めてから卵の中に精子を入れるまでの時間は約15秒です。しかし、IMSIでは、まず低倍率で精子の動きを止めた後、高倍率で精子を評価・選別し、また低倍率に戻して顕微授精を行うため、精子の動きを止めてから卵の中に精子を入れるまでに約3〜5分かかります。この時間がかかることによって、受精卵の質が低下する可能性も考えられます)について書きました。
この点についてはいろいろな点を改良してIMSIの手技に慣れれば時間を約25秒に短縮することが可能となりました。
現在、木場公園クリニックではIMSI希望の方が多いため、現在IMSIのシステムは1台から2台になりました。
何回か顕微授精を行っても妊娠しない方にIMSIを行うと、3日目や5日目の胚の状態が変わらなくても、妊娠率が高くなり、流産率が低くなる報告されています。
2007年09月16日
2007年06月06日
子宮内膜刺激胚移植法(SEET)
今日は子宮内膜刺激胚移植法についてお話をします。
この方法は二段階胚移植法による多胎妊娠の増加を防ぐことを考慮した方法で二段階胚移植法の進化型です。
この子宮内膜刺激胚移植法(SEET:Stimulation Endometrium Embryo Transfer)は、二段階胚移植法で有名な神戸の英ウイメンズクリニックで考えられた方法です。
具体的な二段階胚移植の方法についてお話をします。
採卵後、体外受精または顕微授精を実施した後、5日間胚を培養して胚盤胞と胚盤胞が入った培養液を別々に凍結します。
卵胞ホルモン(エストロゲン)を補充して子宮内膜を人工的に厚くした後、黄体ホルモンの注射3本後に胚盤胞が入っていた培養液のみを子宮腔内に注入します。
胚盤胞から分泌された因子によって子宮内膜が着床しやすい内膜に変わると言われています。
黄体ホルモンの注射5本後(胚培養液を注入して2日後)に凍結していた胚盤胞を融解して胚移植を行います。
木場公園クリニックでも数回新鮮または凍結融解胚移植を行っても妊娠しない人を中心にSEET法を行っています。
まだ、実施数は少ないですが、数回新鮮または凍結融解胚移植を行っても妊娠しなかった6症例中4症例で妊娠が成立するという良好な成績を得ています。
この方法は二段階胚移植法による多胎妊娠の増加を防ぐことを考慮した方法で二段階胚移植法の進化型です。
この子宮内膜刺激胚移植法(SEET:Stimulation Endometrium Embryo Transfer)は、二段階胚移植法で有名な神戸の英ウイメンズクリニックで考えられた方法です。
具体的な二段階胚移植の方法についてお話をします。
採卵後、体外受精または顕微授精を実施した後、5日間胚を培養して胚盤胞と胚盤胞が入った培養液を別々に凍結します。
卵胞ホルモン(エストロゲン)を補充して子宮内膜を人工的に厚くした後、黄体ホルモンの注射3本後に胚盤胞が入っていた培養液のみを子宮腔内に注入します。
胚盤胞から分泌された因子によって子宮内膜が着床しやすい内膜に変わると言われています。
黄体ホルモンの注射5本後(胚培養液を注入して2日後)に凍結していた胚盤胞を融解して胚移植を行います。
木場公園クリニックでも数回新鮮または凍結融解胚移植を行っても妊娠しない人を中心にSEET法を行っています。
まだ、実施数は少ないですが、数回新鮮または凍結融解胚移植を行っても妊娠しなかった6症例中4症例で妊娠が成立するという良好な成績を得ています。
2007年05月24日
体外受精・顕微授精のシステム
今晩は。
今日はラボ(卵、胚、精子などを扱う場所のことをラボといい、扱う人のことをエンブリオロジストといいます)のembryo ICU systemとダブルチェックシステムについてのお話をします。
Embryo ICUシステム
重体の人にICU(集中治療室)が必要なように、胚ではさらに管理されたICUが必要です。
そのような考え方から木場公園クリニックではEmbryo ICUシステムを導入しています。
1)ビルの屋上に設置している発電機
停電したときもUPS(大型の蓄電池)と組み合わせているため、瞬時も電源が停止せずかつ防災用とは異なり、電算機電源にも利用できる精密な波形精度の発電機でバックアップしています。
無停電となるものは、インキュベーター、保冷庫、エアコン、クリーンベンチ、ラボ内電気などです。
2)高性能エアコン:ラボ内専用の高性能ヘパフィルター付きのエアコンで、温度は27度±1度に設定し、一年を通して恒温状態を保つことができます。
さらに、1台のエアコンが故障しても問題がないように2台のエアコンを設置しています。
また、化学汚染物質や揮発性物質及び臭気削減のために活性炭素、ゼオライト、カリウムが組み込まれたヘパフィルターのついた特殊エアクリーナーも設置しています。
3)インキュベーター監視システム
24時間、インキュベーター(胚を培養している培養庫)の温度・CO2濃度・O2濃度、培養液を保管する保冷庫の温度、ラボ内の室温・湿度を監視し、その記録が全て残り異常値が出た場合はスタッフの携帯電話にメールが届くシステムを導入しています。
異常値が出た場合は休診日・夜間などのラボ内不在時にも24時間体制で対応することができます。
ダブルチェックシステム
卵・精子の処理のすべての行程を実施者・確認者でダブルチェックを行っています。
もちろん、休祭日もかならずダブルチェックを行っています。
ダブルチェックは形骸化しないように指で指しながら声を出して行っています。
作業の各段階での実施者・確認者の名前を記録に残しています。
今日はラボ(卵、胚、精子などを扱う場所のことをラボといい、扱う人のことをエンブリオロジストといいます)のembryo ICU systemとダブルチェックシステムについてのお話をします。
Embryo ICUシステム
重体の人にICU(集中治療室)が必要なように、胚ではさらに管理されたICUが必要です。
そのような考え方から木場公園クリニックではEmbryo ICUシステムを導入しています。
1)ビルの屋上に設置している発電機
停電したときもUPS(大型の蓄電池)と組み合わせているため、瞬時も電源が停止せずかつ防災用とは異なり、電算機電源にも利用できる精密な波形精度の発電機でバックアップしています。
無停電となるものは、インキュベーター、保冷庫、エアコン、クリーンベンチ、ラボ内電気などです。
2)高性能エアコン:ラボ内専用の高性能ヘパフィルター付きのエアコンで、温度は27度±1度に設定し、一年を通して恒温状態を保つことができます。
さらに、1台のエアコンが故障しても問題がないように2台のエアコンを設置しています。
また、化学汚染物質や揮発性物質及び臭気削減のために活性炭素、ゼオライト、カリウムが組み込まれたヘパフィルターのついた特殊エアクリーナーも設置しています。
3)インキュベーター監視システム
24時間、インキュベーター(胚を培養している培養庫)の温度・CO2濃度・O2濃度、培養液を保管する保冷庫の温度、ラボ内の室温・湿度を監視し、その記録が全て残り異常値が出た場合はスタッフの携帯電話にメールが届くシステムを導入しています。
異常値が出た場合は休診日・夜間などのラボ内不在時にも24時間体制で対応することができます。
ダブルチェックシステム
卵・精子の処理のすべての行程を実施者・確認者でダブルチェックを行っています。
もちろん、休祭日もかならずダブルチェックを行っています。
ダブルチェックは形骸化しないように指で指しながら声を出して行っています。
作業の各段階での実施者・確認者の名前を記録に残しています。
2007年05月12日
顕微授精(IMSIとICSI)
こんばんは。吉田淳です。今日はIMSIの利点と欠点についてのお話をします。
今までお話をしてきたようにIMSIの最大の利点は通常のICSIよりも高倍率で精子を観察して形がいい精子を選んで顕微授精ができる点です。
ではIMSIのマイナス面はないのでしょうか。
顕微授精を行うときは、卵の中にガラス製の針を用いて精子を入れる前に、動いている精子を押さえて動きを止めます。
通常のICSIでは、良好な精子を選んだ後、精子の動きを止めてから卵の中に精子を入れるまでの時間は約15秒ぐらいです。
一方、IMSIではまず低倍率で精子の動きを止めます。
次に高倍率で精子を観察してから精子を評価・選別し、また低倍率に戻して顕微授精を行うため、精子の動きを止めてから卵の中に精子を入れるまでに約3から5分、時間がかかります。
この時間がかかることによって、受精卵の質が低下する可能性も考えられます。
現在、木場公園クリニックでは、数回通常のICSIを行っても妊娠しない方にはすべての卵にIMSIを行うこともありますが、顕微授精が初回の方には、IMSIの利点と欠点を考慮してIMSIとICSIを半々に行っています。
次回は、ラボ(卵、胚、精子などを扱う場所のことをラボといい、扱う人のことをエンブリオロジストといいます)のバックアップ体制とダブルチェックシステムについてのお話をする予定です。
今までお話をしてきたようにIMSIの最大の利点は通常のICSIよりも高倍率で精子を観察して形がいい精子を選んで顕微授精ができる点です。
ではIMSIのマイナス面はないのでしょうか。
顕微授精を行うときは、卵の中にガラス製の針を用いて精子を入れる前に、動いている精子を押さえて動きを止めます。
通常のICSIでは、良好な精子を選んだ後、精子の動きを止めてから卵の中に精子を入れるまでの時間は約15秒ぐらいです。
一方、IMSIではまず低倍率で精子の動きを止めます。
次に高倍率で精子を観察してから精子を評価・選別し、また低倍率に戻して顕微授精を行うため、精子の動きを止めてから卵の中に精子を入れるまでに約3から5分、時間がかかります。
この時間がかかることによって、受精卵の質が低下する可能性も考えられます。
現在、木場公園クリニックでは、数回通常のICSIを行っても妊娠しない方にはすべての卵にIMSIを行うこともありますが、顕微授精が初回の方には、IMSIの利点と欠点を考慮してIMSIとICSIを半々に行っています。
次回は、ラボ(卵、胚、精子などを扱う場所のことをラボといい、扱う人のことをエンブリオロジストといいます)のバックアップ体制とダブルチェックシステムについてのお話をする予定です。
2007年05月06日
顕微授精
現在主に行われている顕微授精のことを卵細胞質内精子注入法( Intracytoplasmic sperm injection: ICSI イクシー)と言います。一方、6000倍から12000倍の高倍率下で精子を選んで顕微授精を行う方法のことを(Intracytoplasmic morphologically selected sperm injection: IMSI イムジィ)と言います。
この前お話をしたように通常のICSIでは400倍から600倍で精子を選ぶのですが、IMSIではそれよりももっと拡大して精子を選びます。
右上の写真のように400倍では正常と判断していた精子でも、強拡大すると頭部に空胞が見えることがあります。
木場公園クリニックではIMSI時に、精子をより詳しく調べて以下のように分類をします。
A)頭部、中片部、尾部の形態は正常でありかつ頭部に空胞がない精子
B)頭部、中片部、尾部の形態は正常であるが頭部に小さな空胞がある精子
C)頭部、中片部、尾部の形態は正常であるが頭部に大きな空胞がある精子
D)頭部、中片部、尾部の形態は正常であるが頭部に小さな空胞と大きな空胞がある精子
E)頭部、中片部、尾部の形態に異常がある精子
Aの精子があればAの精子を使用して顕微授精を行いますが、Aの精子がなければBの精子を使用して顕微授精を行います。
ではIMSIはどのような方に効果があるのでしょうか。
通常のICSIを数回行っても妊娠に至らない方に効果がある場合があります。
一方、精液中にごく少量の精子しか認められない場合はIMSIを実施しても選べる精子が少ないため、IMSIでもICSIでも成績は変わらないと考えられています。
最近、木場公園クリニックでは「IMSI希望です」とお話をされる患者様が増えてきました。
2007年05月02日
アンタゴニスト(セトロタイド)
今日は、卵巣刺激時に勝手に排卵がおきないようにするために使用するアンタゴニスト(セトロタイド)についてのお話をします。
体外受精や顕微授精の成績を決める大きな柱には、
1)採卵前検査、
2)卵巣年齢を考慮した卵巣刺激、
3)採卵、
4)ラボラトリーワーク(卵子、精子、胚を扱う者のことをエンブリオロジストと呼び、卵子、精子、胚を扱う場所をラボと言います)、
5)胚の選別(どの胚を移植するか)と胚移植(受精卵を子宮に戻す手技のこと)、
6)黄体補充(排卵後の卵巣にできる黄体から分泌されているホルモンを補充すること)
があるというお話は以前しましたが、その中で卵巣年齢を考慮した卵巣刺激は体外受精や顕微授精の成績を決める上で我々臨床医にとって重要な部分を占めます。
アンタゴニスト法は思ったほど成績がでないという声をドクターからよく耳にしますが、それはアンタゴニストが強力で即時に下垂体から出ているFSHやLHの分泌に抑制をかけるためです。
アンタゴニストはスプレキュアやブセレキュアなどのGnRH アゴニストと比較して強力に卵胞発育にブレーキをかけます。
アンタゴニストは強力なブレーキのためきっちりとアクセル(FSHの注射(メインエンジン)やLHの代わりに使用している低用量hCG(サブエンジン))を踏んでいないと車は急に止まってしまいます(卵胞の発育が急に止まってしまいます)。
アンタゴニスト法ではアンタゴニストを開始するタイミングと採卵日を決定するタイミングが非常に重要で、人また周期によってそれらのタイミングを決める必要があります。つまりアンタゴニストは使いこなすのにテクニックが必要だということです。
簡単に言うと、スプレキュアやブセレキュアなどを使用するロング法やショート法がオートマチック車的であるのに対して、アンタゴニスト法はマニュアル車的です。超音波で卵胞計測をまめに行い、ホルモン検査をしながら卵巣刺激を行えば、アンタゴニスト法の良さを十分に発揮することができると思っています。
ロング法やショート法で妊娠しない方にアンタゴニスト法を行っただけで妊娠する場合もあるため、常に得られる情報は最大限に利用して頭を使いながら卵巣刺激法を決定する必要があると思います。
体外受精や顕微授精の成績を決める大きな柱には、
1)採卵前検査、
2)卵巣年齢を考慮した卵巣刺激、
3)採卵、
4)ラボラトリーワーク(卵子、精子、胚を扱う者のことをエンブリオロジストと呼び、卵子、精子、胚を扱う場所をラボと言います)、
5)胚の選別(どの胚を移植するか)と胚移植(受精卵を子宮に戻す手技のこと)、
6)黄体補充(排卵後の卵巣にできる黄体から分泌されているホルモンを補充すること)
があるというお話は以前しましたが、その中で卵巣年齢を考慮した卵巣刺激は体外受精や顕微授精の成績を決める上で我々臨床医にとって重要な部分を占めます。
アンタゴニスト法は思ったほど成績がでないという声をドクターからよく耳にしますが、それはアンタゴニストが強力で即時に下垂体から出ているFSHやLHの分泌に抑制をかけるためです。
アンタゴニストはスプレキュアやブセレキュアなどのGnRH アゴニストと比較して強力に卵胞発育にブレーキをかけます。
アンタゴニストは強力なブレーキのためきっちりとアクセル(FSHの注射(メインエンジン)やLHの代わりに使用している低用量hCG(サブエンジン))を踏んでいないと車は急に止まってしまいます(卵胞の発育が急に止まってしまいます)。
アンタゴニスト法ではアンタゴニストを開始するタイミングと採卵日を決定するタイミングが非常に重要で、人また周期によってそれらのタイミングを決める必要があります。つまりアンタゴニストは使いこなすのにテクニックが必要だということです。
簡単に言うと、スプレキュアやブセレキュアなどを使用するロング法やショート法がオートマチック車的であるのに対して、アンタゴニスト法はマニュアル車的です。超音波で卵胞計測をまめに行い、ホルモン検査をしながら卵巣刺激を行えば、アンタゴニスト法の良さを十分に発揮することができると思っています。
ロング法やショート法で妊娠しない方にアンタゴニスト法を行っただけで妊娠する場合もあるため、常に得られる情報は最大限に利用して頭を使いながら卵巣刺激法を決定する必要があると思います。
2007年04月29日
顕微授精2
ICSIでは従来は400倍の倍率で精子を選別してICSIに使用していましたが最近では約6000倍から12000倍に精子を拡大して精子を選別することが可能となりました。木場公園クリニックではカメラで有名なライカ社製のシステムを使用しています。
先日お話させていただいたIMSIについて今日はさらに詳しく写真も交えて説明させていただきます。
高倍率で精子を選別してICSIを行うことから、この方法のことをHigh Magnification ICSI(IMSI)と言います。400倍で観察した時は正常と判断した精子を、約6000倍から12000倍に拡大してみると精子の頭の部分に空胞(抜けている部分)を認めることがあります。つまり高倍率にすることで詳しく精子の形態を観察することが可能となります。
高倍率で観察して精子の頭部に空胞がない正常な精子または空胞が非常に小さく少ない精子を使用してIMSIを行うと、胚盤胞に到達する割合が多くなり、着床率、生産率(赤ちゃんを家につれて帰れる確率)が高くなると報告されています。
木場公園クリニックでは3月上旬にベルギーから先生を招いて指導を受けたあと日本で初めてこのシステムを導入しました。400倍で選んだ精子を使用したICSIで3日目にいい胚ができるにもかかわらす妊娠できなかった方が、現在までに数名、約6000倍から12000倍で選んだ精子を使用したICSIで妊娠されています。
無精子症
おはようございます。吉田淳です。今日は、先日参加した学会と無精子症についてのお話をします。
吉田先生は産婦人科医?泌尿器科医?とよく他の施設の先生から質問されますが、産婦人科は専門医で、泌尿器科は男性不妊症が専門です。一人のドクターが女性・男性不妊症両方の治療ができるのがベストだと思っていますので、自分のような先生が世界中にいっぱいできるのが私の夢です。
産婦人科の学会、泌尿器科の学会と両方の学会に参加・発表するため忙しい毎日を過ごしていますが、今回は4月14日から17日まで神戸で行われた日本泌尿器科学会総会に参加し、「患者さんの目線に立った生殖医療の最前線」というテーマのワークショップで座長とシンポジスト(講演者)を行ってきました。その中のことについて今日はお話をします。
男性不妊症の専門外来を受診される患者様の約2割の方は、精液中に精子が1匹もいない無精子症です。無精子症には、精子の通り道がおかしい閉塞性無精子症と精巣(睾丸)そのものに障害がある非閉塞性無精子症があります。無精子症の中の、約2割が閉塞性無精子症、約8割が非閉塞性無精子症です。
非閉塞性無精子症は以前、治療不可能とされていましたが、精巣内に極少量の精子が見つかれば、ICSI(顕微授精の一種で、顕微鏡下にガラス製の針を使用して精子を卵子に入れて受精をさせる方法)を行うことにより妊娠が可能となりました。
非閉塞性無精子症の方の精巣から精子を探す方法は、simple biopsy(一カ所のみ精巣組織をとる方法)、multiple biopsy(数カ所精巣組織をとる方法)、MD-TESE(脳外科の手術もできるような手術用の顕微鏡を使用して、2時間ぐらいかけて選択的に太くて白い精細管(精子が作られる管のことを精細管と呼び、片側の精巣の精細管をのばすと540mぐらいになる)を採取する方法)と変遷してきました。精子が見つかる確率が高いため、今ではほとんどの施設でMD-TESEが行われています。
吉田先生は産婦人科医?泌尿器科医?とよく他の施設の先生から質問されますが、産婦人科は専門医で、泌尿器科は男性不妊症が専門です。一人のドクターが女性・男性不妊症両方の治療ができるのがベストだと思っていますので、自分のような先生が世界中にいっぱいできるのが私の夢です。
産婦人科の学会、泌尿器科の学会と両方の学会に参加・発表するため忙しい毎日を過ごしていますが、今回は4月14日から17日まで神戸で行われた日本泌尿器科学会総会に参加し、「患者さんの目線に立った生殖医療の最前線」というテーマのワークショップで座長とシンポジスト(講演者)を行ってきました。その中のことについて今日はお話をします。
男性不妊症の専門外来を受診される患者様の約2割の方は、精液中に精子が1匹もいない無精子症です。無精子症には、精子の通り道がおかしい閉塞性無精子症と精巣(睾丸)そのものに障害がある非閉塞性無精子症があります。無精子症の中の、約2割が閉塞性無精子症、約8割が非閉塞性無精子症です。
非閉塞性無精子症は以前、治療不可能とされていましたが、精巣内に極少量の精子が見つかれば、ICSI(顕微授精の一種で、顕微鏡下にガラス製の針を使用して精子を卵子に入れて受精をさせる方法)を行うことにより妊娠が可能となりました。
非閉塞性無精子症の方の精巣から精子を探す方法は、simple biopsy(一カ所のみ精巣組織をとる方法)、multiple biopsy(数カ所精巣組織をとる方法)、MD-TESE(脳外科の手術もできるような手術用の顕微鏡を使用して、2時間ぐらいかけて選択的に太くて白い精細管(精子が作られる管のことを精細管と呼び、片側の精巣の精細管をのばすと540mぐらいになる)を採取する方法)と変遷してきました。精子が見つかる確率が高いため、今ではほとんどの施設でMD-TESEが行われています。
2007年04月19日
顕微授精
木場公園クリニックの院長の吉田淳です。
木場公園クリニックは女性・男性の不妊症の治療を一人の医師が行うことができる施設です。不妊症の治療をお受けになっている患者様の少しでもお役に立てばと考え、ブログを始めることにしました。
体外受精や顕微授精の成績を決める大きな柱には、
1)採卵前検査、
2)卵巣年齢を考慮した卵巣刺激、
3)採卵、
4)ラボラトリーワーク(卵子、精子、胚を扱う者のことをエンブリオロジストと呼び、卵子、精子、胚を扱う場所をラボと言います)、
5)胚の選別(どの胚を移植するか)と胚移植(受精卵を子宮に戻す手技のこと)、
6)黄体補充(排卵後の卵巣にできる黄体から分泌されているホルモンを補充すること)
があります。その中でラボラトリーワークは高い妊娠率を獲得するために非常に重要な部分を占めています。そのラボラトリーワークの中で今日は顕微授精についてのお話をしたいと思います。
現在主に行われている顕微授精は卵細胞質内精子注入法(ICSI)です。
ICSIとは顕微鏡下に卵の中にガラスの針を使用して精子を入れる方法のことです。従来は400倍の倍率で精子を選別してICSIに使用していましたが最近では約6000倍から12000倍に精子を拡大して精子を選別することが可能となりました。
高倍率で精子を選別してICSIを行うことから、この方法のことをHigh Magnification ICSI(IMSI)と言います。400倍で観察した時は正常と判断した精子を、約6000倍から12000倍に拡大してみると精子の頭の部分に空胞(抜けている部分)を認めることがあります。
高倍率で観察して精子の頭部に空胞がない正常な精子を使用してIMSIを行うと、胚盤胞に到達する割合が多くなり、着床率、生産率(赤ちゃんを家につれて帰れる確率)が高くなると報告されています。
木場公園クリニックでは精液中に精子が1匹もいない無精子症や精子の数が非常に少ない高度乏精子症などの男性不妊症が原因で顕微授精を実施している方が非常に多いため日本ではじめてこのIMSIのシステムを導入しました。
木場公園クリニックは女性・男性の不妊症の治療を一人の医師が行うことができる施設です。不妊症の治療をお受けになっている患者様の少しでもお役に立てばと考え、ブログを始めることにしました。
体外受精や顕微授精の成績を決める大きな柱には、
1)採卵前検査、
2)卵巣年齢を考慮した卵巣刺激、
3)採卵、
4)ラボラトリーワーク(卵子、精子、胚を扱う者のことをエンブリオロジストと呼び、卵子、精子、胚を扱う場所をラボと言います)、
5)胚の選別(どの胚を移植するか)と胚移植(受精卵を子宮に戻す手技のこと)、
6)黄体補充(排卵後の卵巣にできる黄体から分泌されているホルモンを補充すること)
があります。その中でラボラトリーワークは高い妊娠率を獲得するために非常に重要な部分を占めています。そのラボラトリーワークの中で今日は顕微授精についてのお話をしたいと思います。
現在主に行われている顕微授精は卵細胞質内精子注入法(ICSI)です。
ICSIとは顕微鏡下に卵の中にガラスの針を使用して精子を入れる方法のことです。従来は400倍の倍率で精子を選別してICSIに使用していましたが最近では約6000倍から12000倍に精子を拡大して精子を選別することが可能となりました。
高倍率で精子を選別してICSIを行うことから、この方法のことをHigh Magnification ICSI(IMSI)と言います。400倍で観察した時は正常と判断した精子を、約6000倍から12000倍に拡大してみると精子の頭の部分に空胞(抜けている部分)を認めることがあります。
高倍率で観察して精子の頭部に空胞がない正常な精子を使用してIMSIを行うと、胚盤胞に到達する割合が多くなり、着床率、生産率(赤ちゃんを家につれて帰れる確率)が高くなると報告されています。
木場公園クリニックでは精液中に精子が1匹もいない無精子症や精子の数が非常に少ない高度乏精子症などの男性不妊症が原因で顕微授精を実施している方が非常に多いため日本ではじめてこのIMSIのシステムを導入しました。

